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【UFC】ケイプに勝利・UFC7連勝のモカエフが電撃リリース「PFLは素晴らしい無敗の男を手に入れることになる」(ダナ代表)──13戦無敗のプロスペクト放出が意味するもの

 2024年7月27日(日本時間28日)、英国マンチェスターCo-op Liveにて『UFC 304: Edwards vs. Muhammad 2』(U-NEXT配信)が開催された。

 日本の平良達郎が5位にランクされる注目のフライ級で、UFC6連勝中のムハンマドモカエフ(英国)と、UFC4連勝中の元RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプポルトガル)が対戦。

 試合は、アマ24連勝・プロ12連勝で無敗の23歳のモカエフが、ケイプにテイクダウンを仕掛けるも、ケイプは最終ラウンドまで許さず。3Rに背中を着かせたモカエフにケイプは下からヒジ打ちも、モカエフが手数で勝り、判定3-0(29-28×2, 30-27)で勝利した。

 接戦ながら、プロMMA13戦無敗となったモカエフは、今回のマンチェスターでの試合をもってUFCとの契約が満了となることについて、事前に「新しい契約を結んでくれることを願っている。僕は23歳で、UFCチャンピオンになるのが夢だ。他の団体にいるつもりはない」と語っていた。

 この日の試合後もオクタゴンのなかで、王座挑戦をアピールしたが、試合後のUFCダナ・ホワイト代表の会見では、意外な言葉が発せられた。

 ダナ代表は、この無敗のプロスペクトとの契約更新は考えていないこと示した。

モカエフとの再契約を検討しているか」と問われたデイナ代表は「彼はもう契約していない。PFLは素晴らしい無敗の男を手に入れることになると思う。彼に幸運を祈る」と語っている。

 試合前にはマネル・ケイプとの因縁から、モカエフはケイプと写真を撮るふりをしてケイプに近づき、平手打ちし、口論が始まったとも言われており、その事件をモカエフ自身も試合後の会見で認めている。何かと問題があったモカエフだが、今回は両者ともにその傾向があったこと。

 試合運びはプロモーションが好むストライカーではなく、レスリングベースでときに地味な展開になるものの、ダナ代表が「マッチメーカー達が彼のことをよく思っていないのは事実だが、(再契約しない)理由は彼のファイトスタイル以外にも色々ある」と言う通り、複合的な要因によりオクタゴンを離れるこよになったようだ。しかし、その23歳の輝きは、稀有なものであることは間違いない。なぜ、UFCはダゲスタン出身の英国の超新星を手放すのか。

 同日に日本で行われた『超RIZIN.3』では、ベアナックファイトで征矢貴から3度のダウンを奪い勝利した、元UFCフライ級タイトルコンテンダーのジョン・ドッドソン(現BKFCフライ級王者)が、試合後の会見で、ケイプに勝利したモカエフが契約解除されたこと、対戦の興味を聞かれ、「モカエフがケイプと試合をしたことは知っている。アマチュアでも経験豊富で、もちろんそういった対戦機会があれば戦いたい」と語っている。

 UFC以外のメジャープロモーションでフライ級が活発なのは、ONE ChampionshipやRIZINなどアジアの団体のほか南米、北米にも王者が存在するが、PFLやBellatorでは現時点でロスターが揃うのは、バンタム級が最軽量級となる。

 現在Bellator契約下にあり、UFC再挑戦を目指すRIZINフライ級王者の堀口恭司にとっても、Bellator/PFLにフライ級のランキングやリーグ戦が存在しないことが悩みどころとなっている。

 2023年7月の『超RIZIN.2』でノーコンテストとなった堀口恭司vs.神龍誠の試合は、偶発的なアイポークで無効試合とならなければ、Bellatorに初のフライ級王者が誕生するはずだった。実際には、その後のPFLの買収により、フライ級をどこまで稼働していたかは定かではないが、今回のUFCモカエフ放出時のデイナ代表による「PFLは素晴らしい無敗の男を手に入れることになる」という言葉は、ほか団体のフライ級戦線に影響を与えることになるだろう。

 28日にRIZIN榊原信行CEOは、公の場で今年の大晦日にBellator日本大会が開催されることを明かし、そこで鈴木千裕vs.パトリシオ・ピットブル・フレイレのBellatorバンタム級タイトルマッチの可能性を語っている。そのBellatorを買収したPFLが、もし、MMA13戦無敗・UFC6連勝のムハンマドモカエフを獲得すれば、その戦場は、フライ級ファイターがいるBellatorからになる可能性も考えられ、“幻のBellatorフライ級ベルト”を堀口恭司と争うには、格好の相手だ。それはもしかしたら大晦日への道に繋がるかもしれない。

 そして、モカエフのリリースは、UFCフライ級王座戦線にも影響を与える。ケイプを下し、「タイトルマッチ」をアピールしていたモカエフが離脱したことで、その勝者との対戦を視野に入れていた、現UFCフライ級5位でUFC6連勝中の平良達郎のチャンピオンシップへの機運が高まっている。平良自身はそこに焦りは無いが、現王者のアレクサンドル・パントーハの対戦相手が一巡しているなか、新たな挑戦者は誰になるのか。平良に加え、オクタゴンデビューを果たした鶴屋怜、UFCとの契約を果たした朝倉海の参戦もありうるフライ級に注目だ。